Drivelog #003 夏の光のなかの新海三社神社
軽井沢に旅行した際、丸一日、自由に使える時間ができました。しかし、その日は朝から曇りがち。せっかく軽井沢まで来たのですから、どこかへ行こうと思ったのですが、浅間山をはじめとする風景のよい場所を訪ねるには、少し天候が物足りない感じでした。
そこでChatGPTに相談して、軽井沢から車で行くことのできる、由緒ある神社や歴史的な場所を探してもらいました。そのなかで見つけたのが、佐久市田口に鎮座する新海三社神社です。
軽井沢から国道18号を走り、追分付近から南へ向かいました。軽井沢周辺の森のなかを走る道とは異なり、やがて視界が大きく開けてきます。佐久平と呼んでよいのでしょうか。山々に囲まれた広々とした土地を走っていると、信濃という地域の雄大さを感じます。これだけでも、なかなか素晴らしいドライブ体験でした。
新海三社神社の近くには、幕末に築かれた星形の城郭として知られる龍岡城五稜郭があります。今回はそばを通っただけでしたが、こちらも興味深い場所でしたので、また機会があれば紹介したいと思います。
龍岡城の近くから、風情のある少し細い道を進み、新海三社神社に到着しました。
車を降りて境内へ向かうころには、いつの間にか雲が切れ、木々の間から夏の日差しが差し込んでいました。濃い緑が日の光を受けて輝く光景は、本当にここまで来てよかった、と思わせるものでした。
参拝する人の姿はまばらで、境内にはほとんど私しかいないような時間もありました。大きな木々に囲まれた参道を歩いていくと、日常の音が遠ざかり、別の時代へ入っていくような感じがします。
新海三社神社は、佐久地方の開拓の祖神とされる興波岐命を東本社に、その父神である建御名方命を中本社に、伯父神の事代主命を西本社に祀る神社です。古くから佐久地方の総社として崇敬を集めてきたとのこと。
拝殿の奥には三つの本社が並んでいます。そのうち東本社は室町時代の建築と推定され、国の重要文化財に指定されています。華美というよりは、長い時間を静かに積み重ねてきた建物という印象でした。



さらに特筆すべきなのが、社殿の奥に三重塔が残されていることです。

この三重塔は永正12年、1515年に建てられたもので、東本社と同じく国の重要文化財に指定されています。神社の境内に仏教建築である三重塔が立っているという、不思議で美しい光景です。
もともとは境内にあった神宮寺の塔でした。明治維新後の廃仏毀釈の際、神宮寺は別の場所へ移されましたが、三重塔は神社の宝物庫、つまり倉庫であるという名目によって、破壊を免れたのだそうです。。緑に包まれた境内に、五百年以上前の三重塔が静かに立っている。その姿を見ていると、歴史というものは、大きな出来事だけではなく、その時々の人々の小さな判断によっても守られていくのだな、と思いました。
境内ではトンボが飛び交い、ふと頭上を見上げると、青空のなかをトンビがゆっくりと舞っていました。夏の濃い緑。木々の間から降り注ぐ光。室町時代から残る社殿と三重塔。そして、空を舞うトンビ。そこには、日本の自然と古い信仰、そして人々が守り継いできた文化が、一つの風景となって残されていました。
曇り空だったからこそ訪れることになった新海三社神社。思いがけず、素晴らしい夏のひとときを過ごすことができました。
それでは。